匂いに敏感な、ひのき(17)は、
亡くなった父が残した全国のミニシアターで観た
映画の感想が書かれたノートを見つける。
ある映画館だけ場所がわからず、
匂いのメモや、感想だけが書かれていた。
コーヒー豆の焙煎店を営んでいた
父が残したコーヒー豆を配りながら、
父の巡った映画館へと旅にでるひのき。
薄れていく父の匂いと、
場所のわからない映画館を探しながら、
ひのきは少し、大人になっていく。